AIが無線電力伝送システムを自動設計~次世代パワーエレクトロニクス回路設計のブレークスルー
2025年08月05日
研究?産学連携
■研究の概要
沙巴体育_大发体育娱乐在线¥投注官网大学院情報学研究院の関屋大雄教授、東京理科大学工学部電気工学科の朱聞起助教、崇城大学情報学部情報学科の小西晃央助教らの研究チームは、高周波無線電力伝送(Wireless Power Transfer: WPT)システムにおいて、負荷(接続される機器の抵抗値)の変動注1)に依存せず、安定した出力電圧と高効率動作を同時に実現する「負荷非依存型WPTシステム」の設計を、機械学習(Machine Learning: ML)注2)と数値最適化によって全自動で行う新たな手法を開発しました。この技術により設計されたWPTシステムは、従来手法に比べて出力電圧の変動を約60%抑制し、電力伝送効率も向上します。さらに、人間の設計では得られなかった新たな回路動作も発見され、パワーエレクトロニクス回路における機械学習の応用可能性を大きく示す成果となりました。
本研究成果は、2025年7月2日に、学術誌IEEE Transactions on Circuits and Systems I: Regular Papersで公開されました。
■用語解説
注1)負荷変動:電力供給対象(=負荷)が時間とともにその性質や必要とする電力を変化させる現象。例えばバッテリーは充電度合いにより、モータは回転速度により抵抗値が時々刻々と変化する。
注2)機械学習 (Machine Learning: ML):コンピュータが明示的にプログラムされることなく、データから自動的にパターンやルールを学習し、新しいデータに対して予測や判断を行う技術。
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図1:実装回路と評価特性 (a)実装回路.(b), (c) 負荷変動に対する特性.
設計(グラフ赤色)は出力電圧変動を抑制しており(a)、また、電力伝送効率も向上しています(b).